国際輸送業界のダークホース 、フレックスポート
貨物輸送業を最適化する、次世代貨物輸送業のイノベーター、FLEX PORT
ソフトバンクビジョンファンドの投資先として話題となっている、FLEX PORT。実際にどんなビジネスモデルなのか、そもそも何がすごいのか、これからの市場規模も含めて改めて検証してみた。
プラットフォームを無料で提供、それを利用した収益基盤
FLEX PORTは無料で、貨物輸送業特有の手間がかかる税関に関する書類管理(送り状など)や今現在荷物がどこを通ってどこの港にあるのかという位置情報、運賃料の比較などがウエブ上で一目瞭然になるというサービスを提供している。しかも、海運輸送だけでなく、陸運や空運の情報も同時に提供している。
この無料提供のプラットフォームから収集される膨大なデータこそがFLEX PORT の最大の強みであり、資産である。
収集された各貨物業者の運賃料、膨大な位置情報から算出される網羅された貨物ルートなどのデータから有料で輸送業も提供している。もっとも安く、早く、手間のかからない輸送ルートを簡単に探し出せるという魅力が大勢のビジネスオーナーなどの顧客を引きつけている。
事業拡大にむけての投資
LAや香港での巨大な倉庫の建設、チャーター機の購入、貨物輸送業にとって欠かせない資金繰りを助ける融資業なども行なっている。
国際物流業界の市場規模は堅調に成長
国際物流業界の市場規模は、Business Wireによると、2017年は約100億ドル、2023年には120億ドル以上になる見通しであり、今後も海を越えた取引はますます増加していくことが予想される。2017年の国際物流業界の市場規模は8%ほど増加し、これは2010年以来、もっとも大きな成長率となっている。
物流業界の技術的ブレイクスルーは必然
膨大量のデータやその分析をする必要がある物流業界では、FLEXPORTのような物流データプラットフォーマーの存在価値は非常に高い。PWCのアンケートデータによると約50%の物流業界で働く人が、これからデジタル文化やその知見やノウハウを持った人が必要だ、と答えている。他業界と比べても、データ分析など技術や知見を持った人が物流業界デアは特に必要であり、業界リサーチの専門家の9割は技術的なブレイクスルーに注目していると答えている。
技術的なブレイクスルーの鍵はオートメーション
米国では注目のスタートアップによるトラックの自動運転の試験運転などが盛んに行われているが、陸運、海運、空運どれをとっても自動運転、つまりオートメーションが鍵になってくる。運送業はその業種の特徴である人件費のコストが多大になる。大多数の労働力をロボットなどに置き換えれば、初期投資費はかかるものの、業務における人為的なミスもなくなり、長期的に見れば人件費の削減による安定的な成長が見込める。
物流業界スタートアップへの投資は盛ん
伝統的な物流業者大手からの出資や投資も盛んであるが、ベンチャーキャピタルによる、業界のディスラプターとなりうるスタートアップへの投資額はさらに大きく、150億ドルとなっており、物流業者大手の投資額の15倍以上となっている。また物流セクター全体で見ても、2025年までに5000億ドルに達すると、The Eonmoics Timesの記事で予測されている。
敵は巨大な既存大手
競合会社としてはドイツ本社の大手DHLやスイスの物流老舗であるKuehne + Nagelなど世界的にも最大の600億ドル規模の売上高と信頼のある強豪と戦うことになる。
また、注目の競合スタートアップとしては、2012年に香港で設立されたFreightosである。同社はリアルタイムの運賃情報比較や運賃管理サービスを提供しており、これまでに90億ドル以上も資金調達に成功している。同社は1200の貨物運送業のプロバイダと提携し、オンラインで運送の予約、管理、トラッキングなどのサービスが利用できる。