長期投資研究ブログ~50年後の未来~

米国、日本株の注目企業分析、新テクノロジー分野の市場分析

中国のユニコーンフィンテック企業、OneConnect Financial Technology (ワンコネクトフィナンシャルテクノロジー)の今後はどうなる?

One Connect って?

 

OneConnectは1000億円以上の企業価値を誇る中国のユニコーン企業である。(企業価値約$4.86B)。金融クラウドプラットフォームを提供するフィンテック企業である同社は12/13にNYSEでトレードできるようになった。$12-$14の価格帯で3600万株のADSの売却を行い、新たに$438.2M-$504.6M の資金をマーケットから調達する予定であったが、初値は約$10.50で現在の株価は$10.03で推移している。

2018年にソフトバンクの$750Mの出資を受け、企業価値$7.5Bだったことを考えるとかなり価値は半減したが今後の成長次第では潜在価値は高いと考える。同社は最新テクノロジー、主にAI、ブロックチェーン、ビッグデータの分野の金融分野において多数の特許を取得しており、技術的なブレイクスルーを起こしてきた実績がある。

 

OneConnect Financial Technology (ワンコネクトフィナンシャルテクノロジー)の事業内容

 

ワンコネクトフィナンシャルテクノロジーは中国のメガバンクや中小金融機関向けのテクノロジー活用ソリューションを提供しており、中国SaaS企業の代表格である。中国の大手保険会社Ping Anの子会社でもある。

 

 主要テクノロジー

AI:

1.金融機関の口座の書類プロセスの自動化

2. ポートフォリオ損益評価額の自動評価

3. カスタマーサービスの自動化、最適化

4. ロボアドバイザー

5. リスクマネジメントモデルの構築

6.デジタルローン

7.デジタルマーケティング

AI分野では772の特許を保有しており、ガンマAIリサーチラボと呼ばれるAI技術の研究所を創設している。ミクロエクスプレッションテクノロジーを活用したID詐欺の防止、そして融資するときの面接を自動で行うことにより人件費の削減にも効果がある。

 

ブロックチェーン:

1.処理能力の高いトレードプラットフォーム

2. ブロックチェーンによるセキュリティー

3. トレードの透明性

香港金融管理局の国際トレードのプラットフォームとしてワンコネクトのFIMAXが使用されており、高いセキュリティーと質が確約されている。

 

ビッグデータ:

1.IT企業や金融機関から蓄積された膨大なデータ

2. データの簡単な利用

3. データガバナンス

4. リスクマネジメント

ビッグデータにより高いコンプライアンスや効率的なデータの利用、カスタマイズなどが可能になる。

 

まとめると、ワンコネクトの主なプラットフォームは5つで、

1.セールスマーケティング

2.プロダクトディベロップメント:デジタルローン

3.リスクマネジメント:AIによる詐欺やクレカの不正使用などの防止

4.オペレーション:AIカスタマーサービス、コンプライアンス

5.テクノロジーインフラ:ガンマー0(オープンAPIプラットフォーム)、クラウドマネジメント、ブロックチェーン

 

成長性は? 

 

2017年から2018年までに142.9%の売上の伸びを記録している。2018年の1年間で顧客は1600から3500と2倍以上に成長し、赤字ではあるが、2015年に創設されたばかりのことを考えるとここまでの急成長ぶりは圧巻デアある。売上に対する純損失は年々減少しており、104.3%から67.5%まで順調に損失に対して売上が急拡大しているのがわかる。

 

 

ワンコネクトの将来性 

 

 この企業のすごいところはまさに中国国内のシェアの高さにある。中国の99%のメガバンク、46%の中小金融機関がワンコネクトのプラットフォームを利用しており、ストック収入の堅調さは今後も続くと見ている。

中国の金融機関がテクノロジーに対して投資をする割合は年々高まっており、2018年は152.2B中国元ものお金がテクノロジー投資に使われており、2023年までに400.8B中国元(年間成長率は21.4%)に増加することが予測されている。

また、中国国内だけでなく、香港、日本、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国とアジアでの事業拡大、顧客獲得に専念しており、アジアの金融都市のプラットフォーマーになれる可能性も十分にあると考える。

 

SBIとの提携

また、2019年12月19日にはSBIと共同でSBIOneconnect Japanを設立し日本進出をしている。地方の金融機関の活性化に向けてのSBIというバックがいることで日本でのシェアを高めることになるだろう。

ソフトバンク出資、インドで圧倒的なシェアを誇るE-Grocery(イーグロセリー)スタートアップ、Grofers(グローファーズ)

 

ソフトバンクビジョンファンドのポートフォリオである
Grofers(グローファーズ )とは?

 

グローファーズは、インドで食料雑貨品及び日用品の配達サービスを展開するスタートアップである。今日の夕飯の買い出しが面倒、1週間分の食料品や今月の日用品をまとめて購入したいなど様々な場面で利用されるサービスです。イメージとしては、食料品等をまとめて配達してもらえるアマゾンパントリーに似ています。特にインドのバンガロールやムンバイなどの大都市では交通渋滞が深刻な社会問題となっており、買い出しに行くのに何時間もかかるという問題の解決に貢献しているのです。

商品の品揃えも豊富で肉や魚、果物、野菜、パン、冷凍食品など食料品はもちろん、ペット用品、キッチン用品、掃除用品、旅行用品などまで購入できる。

サービスの流れは、

1. アプリから欲しい食料品を選び、オーダーする。

2. 購入者の住所から最も近い倉庫が注文を受け取り、倉庫の従業員が綺麗に整列された在庫の箱の中から注文の品を集める。(Amazonのように倉庫内の自動ロボットなどは導入していない。)その都度、賞味期限なども従業員によって視認で確認される。

3. 全ての注文品が揃うと、会計担当者がバーコードでスキャンし、領収書等を発行する。

4.食料品と雑貨品は分かれてプラスチックの袋に梱包され、配送準備がされる。

5. 配達用のバンに注文品が積荷され、住所まで配達される。

6. 受け取り時に商品を確認し、もし必要ない商品があればその場で返品することが可能で、自動的に返金される。

 

配達時間は遅くとも90分以内に可能であり、それ以降も時間を指定して配達して欲しい時間を選択できる。

サービスの流れは、一般的なEコマース業者と変わりないが、商品の返品対応まですんなり受け付けているところが消費者にはとても優しいと感じますね。

 

会社概要

f:id:wataru1015:20191209035854p:plain

消費者の家に届けるグローファーズ

グローファーズは、インドの金融とIT企業がひしめく都市グルガオンを本拠地とする従業員数約3000名のメガベンチャーである。現在インドの大都市を中心に18(グルガオン、バンガロール、デリー、ムンバイ、チェンナイ等)の都市に跨ってサービスが提供されており、今後も拡大する見通しである。

 

ビジネスモデルは?

 

お金の流れはシンプルで、ローカルのストアと提携し、業者側はグローファーズのオンラインプラットフォームを通じてインド中からの注文数を増加させることが可能になり、売り上げがこれまで以上に伸ばせる。グローファーズはプラットフォーム使用料金として8%〜15%の手数料で儲けるという仕組みである。総合注文数が多ければ多いほど手数料も上がるという訳である。

 

資金調達額は?

 

現在の資金調達額は$597.1M(約650億円)にものぼり、ソフトバンクビジョンファンドの他にシリコンバレーの老舗VCであるセコイアキャピタルやタイガーグローバルファンドから複数回に渡って資金調達を行なっている。

 

市場規模は? 

 

現在、インドでオンラインを利用して食料品等を購入している人の割合はかなり低く、0.15%程度と1%にも満たない割合である。これはローカル店舗の数の多さと買い出しに行く文化的な背景によるものらしいが、あまりにも低すぎてビックリだ。今後2023年までに約70%程度のCAGR(年平均成長率)を見込んでいるという驚愕の成長市場である。ソフトバンクビジョンファンドがインドのスタートアップへの出資が多い理由にはこの成長ポテンシャルの凄まじい数字によるものかもしれない。

 

ウェアハウス(倉庫)のシェアリングエコノミー、FLEXE(フレクゼ)を徹底検証してみた。

  1. 会社概要
  2. 事業内容とビジネスモデル
  3. 主要顧客と顧客特性
  4. 事業の特徴、他事業との差別化
  5. 競合分析
  6. 成功要因
  7. 国内の類似ビジネスモデル

1.会社概要

 

Flexe.Inc(フレクゼ)

f:id:wataru1015:20190324061851p:plain

本社所在地:アメリカ合衆国ワシントン州シアトル

設立年:2013年 8月

CEO:Karl Siebrecht

従業員数:約78名

沿革:

2013年にCEOのカールが参加したとあるパーティーで、倉庫探しに苦労しているという友人の話をヒントにオンデマンド型のウェアハウス貸し出しサービスを思いつく。それまでは倉庫を借りるとなると5年間などという長期間での契約が主であったが、ある一定のスペースを借りたい期間だけ借りたいという需要を満足させるために当社を設立。当初はウェアハウス提供者と小売り業者をマッチングさせ、倉庫スペースを貸し出すのみの事業であったが、イーコマースサイト運営者向けに梱包などの発送準備、配送サービスも担うようになった。現在は約80名ほどの従業員を抱え、約$20.8ミリオンの資金調達に成功した。キャスパーマットレス、Toms、AceHardwareなどの大手の小売り業者を中心に100社以上の顧客を抱え、ウェアハウスプロバイダーの巨大なネットワーク、そして大量の在庫データという貴重な資産を持つ。

2. 事業内容とビジネスモデル

 

概要

倉庫の空きスペースや箱詰めに関わる人員が欲しいビジネスオーナー、小売業者、eコマースサイト運営者と、倉庫を持っているが使っていない部分を貸し出したいDHLなどの物流受託業者とをマッチングさせるサイトを運営している。24時間365日、どこの倉庫が空いてるのかという情報を入手でき、世界中のウェアハウスの透明性を提供している。サイトでは1000以上ものウェアハウス提供者の倉庫の空き状況を見ることができる。

また、倉庫の提供者側は、フレクゼのプラットフォームを利用することでその日の注文がどれくらい入っていて、どれくらいの注文の配送準備が完了しているか、という在庫管理を正確なデータをベースに知ることができる。その在庫レベルのデータは毎日データべースに更新されていくので一年を通してどこの倉庫の在庫レベルが何月に高いなどという具体的な詳細な数字をもとに経営戦略を練ることが可能になる。さらにそのデータを利用してどの商品、またはどの地域の倉庫の需要が高いなどというトレンドが把握でき、今後のウェアハウスの貸し出し戦略の市場予測なども可能になる。具体的なサービス内容は以下の通りである。

イーコマースフルフィルメント

E-commerce fulfillment service (イーコマースフルフィルメントサービス)を提供している(以下EFS)。EFSとはオンライン販売における様々な商品の受注、梱包、発送、在庫管理、決済管理など配送業に関わるすべてを代行して担うサービスのことである。世界中のウエアハウスの在庫レベルが分かる一貫したフレクゼ独自のプラットフォームでの在庫管理による利用者の迅速化、効率化を提供。

 

小売業者向け補充在庫の保管

食品、お酒、家具、自動車関連部品など様々なものを店舗販売する小売業者のために在庫保管場所を提供している。その小売業者の店舗が展開している地域や都市に一番近いウェアハウス提供者と商品サイズや数などを考慮してマッチングさせ、商品をそのウェアハウスに発送する。現在の在庫数などのリアルタイムでのデータはフレクゼのサイト内のプラットフォームでみることができる。在庫補充が必要な時にいつでも店舗に発送準備ができる。小売業者は丸ごと一つの倉庫を借りなくてすみ、またウェアハウス購入という非常にコスト高で、リスク高な投資をせずに済む。

 

短期間ストレージ拡張用倉庫

販売店舗がない地域にクリスマスシーズンなど期間限定で商品販売をしたいというある一定の短期間だけに特化した倉庫を提供している。靴ブランドのトムズは年末商戦にむけての繁忙期に、期間限定の店舗を、これまで販売網がなかった地域にも販売を拡大したいというニーズを満たすためにフレクゼを利用した例がある。

 

在庫分析、レポート

在庫管理に関連した日々のデータをもとに、フレクゼの分析チームが企業やビジネスオーナーの需要をもとに在庫、経営戦略の手助けをする。サービス利用者(倉庫利用者)の在庫データから在庫分析を行っており、配達地域、商品数、商品の大きさ、日々の注文状況、配達状況、在庫状況などから将来の地域別の在庫数の推移を予測でき、スムーズに在庫コントロールが可能になり欠品などを減らすことにつながる。

 

ビジネスモデル

1. 月額5000ドルのフレクゼが提供する機能の利用最低料

2. フレクゼが提携しているウェアハウスプロバイダーの利用数に応じたフルフィルメントサービスのパッケージ料金。スターター、グロース、エンタープライズ向けと3つに料金表が分かれている。スターターとグロース向けは一つの注文ごとに2ドルで、注文数の最低下限がスターター向けは2000オーダー以上、グロース向けは7500オーダー以上と決まっている。この料金には在庫データ分析や梱包料金などが含まれている。

3. 個々の注文ごとの梱包、発送準備作業の料金。化粧品などの小物、衣服やシューズなどの中型サイズのモノ、家具や自転車などの大型サイズのモノで料金が分かれている。4. 倉庫の中で在庫マネジメントをするパレット(物流用の台)ごとのスタッフ料金(人件費)

5. 全ての商品の月額保管料金10.65ドル(サイズに関わらずすべて統一料金)

6. 新しい在庫、商品の受け取り料金。一つのユニット(商品)ごとに0.8ドル。

 

3. 主要顧客や顧客特性

 主要な顧客としては、Eコマースサイト企業、小売業者、サードパーティーロジスティクスなどが利用している。特に在庫管理のプラットフォームを独自で持っていない、またはそれにかかる費用を節約したいという企業やビジネスオーナーの利用が多い。また、1000以上ものウェアハウスプロバイダーの中の約8割は、大手やローカルのサードパーティーロジスティクスである。

 

Eコマースサイト、ライドシェアサービス

 

Shopify

f:id:wataru1015:20190324061951p:plain

誰でもサイト上で簡単にオンラインストアビジネスを始めることができるサービスを運営している。まず自分が売りたい商品を探すことから始めることができ、自分のブランドやロゴを簡単に作れる。ビジネスをした事のない人が梱包や配送、在庫管理のことを考えずに済むようにShopifyがFlexeのウェアハウスネットワークを利用し、顧客(ビジネスオーナー)の在庫管理を外注している。オンラインで世界中にあるウェアハウスネットワークを使えるのでどこへでも、そして誰にでも商品を販売することが可能になる。

 

Feather

f:id:wataru1015:20190324063201p:plain

キャスパーやジョイバード、ウエストエルムなどの家具小売り業者と提携して新品もしくは中古の家具を必要な期間だけ貸し出すオンデマンド型サービスを行っている。借りた家具が気に入れば購入することも可能である。特徴としては、インテリアのテイストが同じベッド、ランプ、机、棚、テーブルなどをパッケージで借りることができ、すでにトータルコーディネートされた家具類をすぐに選ぶことができる。これにより、個別に家具を探す手間が省け、引っ越しなどの忙しく時間がない時には重宝するサービスを提供している。顧客特性としては、家具の大型商品なのにも関わらず、無料での1時間配送や3時間配送を行っており、Flexeのウェアハウスネットワークを利用しなければ行えないサービスとなっている。

Lull

 

f:id:wataru1015:20190324065915p:plain

 

いい眠りを人々に提供することで人々を幸せにすることをコンセプトに、マットレス、枕、シーツ、毛布、ベッドフレームなどオンライン上で販売している。購入した商品の配送はFedExを通して行われ、無料で1-4日で消費者のもとに届く仕組みになっている。特性として商品サイズが大きく在庫管理する際の保管コストが他業種よりも多くかかる。Flexeを利用するメリットとしては、月額によるパッケージ料金で在庫管理コストを安く済ませられることとより消費者に近いウェアハウスからの発送により、できるだけFedExの配達コストと配達にかかる時間を同時に下げることができる。

 

Lime

f:id:wataru1015:20190324062126p:plain

電動スクーター、電動自転車、車のシェアリングサービスを行っている。専用アプリで簡単にスクーターや自転車の現在位置が分かり、バーコードでスキャンするだけで決済が完了し乗ることができる。簡単に言うとUberなどのライドシェアのスクーター、自転車版である。目的地に到着したら、道路沿いや歩道の邪魔にならないところに乗り捨てることが可能である。大学内の移動でも利用が可能で安価で学生にもとても評判がいい。顧客特性はアメリカ、ヨーロッパの主要都市部や地域に自転車やスクーターという大型サイズの商品の在庫保管にフレクゼを利用している。

 

店舗、オンライン販売小売業者

 Mohawk

f:id:wataru1015:20190324062246p:plain

カーペット、ウッドフローリング、タイルカーペット、ラグなどの床に敷くインテリア家具用品の専門販売を行っている。およそ14種類のカラーから選べ、質感などのテクスチャーも購入時に選択できる。さらにペットフレンドリー用のカーペットなども販売しており、自分の部屋に合った自分好みのカーペットを追及できる。顧客特性として大型商品のオンライン販売と店舗販売。



TOMS

f:id:wataru1015:20190324065518p:plain

男性、女性、子供用向けのスニーカーやブーツを主にオンラインと店舗で販売しており、サングラスやコーヒー豆、バッグなども販売している。配送業者はUPSに委託しており、有料配送が基本で、最短で1から2日での配達が可能になっている。顧客特性としてはバッグ、シューズなどといった中型から小物の在庫保管が中心である。

 

Ace Hardware(エースハードウェア)

f:id:wataru1015:20190324062701p:plain

アウトドア家具、工具、BBQグリルマシーン、芝刈り機などさまざなハードウェアを店舗とオンライン上で販売している。地球上で最も優れていて、顧客に親切なハードウェアストアになることを目指している。90年以上もの続く事業と7800人の従業員をかかえ、5000以上もの店舗を構えている。フレクゼとの提携の成功例として2018年に起きたハリケーンマイケルとハリケーンフローレンスの甚大な被害により不足した発電機やプロパンタンクの迅速な供給があげられる。フレクゼのウェアハウスネットワークを利用し、南カロリーナやフロリダ地域を中心に不足している大型で保管にスペースが必要な商品の在庫管理、迅速な発送に成功した。フレクゼを利用することで想定外の災害による需要にも対応できたことでオンデマンド型ウェアハウスサービスの優位性が証明された。

 

ウェアハウスプロバイダー、サードパーティーロジスティクス

 

Geodis

 

f:id:wataru1015:20190324062654p:plain

 

SNFC(フランスの国鉄グループ)が親会社で主にフランス、ヨーロッパ、アメリカ、アラスカなどを中心に輸送業を展開する。67か国に拠点があり、120か国にまたがる巨大なサプライチェーンネットワークの重役を担っている。ヨーロッパでは配送業において4番目の大手であり1日から2日で荷物を届けることができ、配達スピードに関してはヨーロッパで1位である。顧客特性としては大手のウェアハウスプロバイダーで、トータルで世界中に300ほどの倉庫拠点を所持しており、その倉庫面積は約70ミリオンスクエアフィートとなっている。

 

Iron Mountain

f:id:wataru1015:20190324062649p:plain

ボストンのマサチューセッツに本拠地を持ち、全米、そして世界中に1400の拠点を展開するアメリカの情報マネジメントサービス会社である。大量のデータを保管し記録するために巨大なデータセンターを持っており、そのための倉庫を所持している。ビジネスの一部としてその倉庫をストレージビジネスとして貸し出している。

 

4. 事業の特徴、他事業との差別化

 

オンデマンド型サービス

事業の特徴としては、まずオンデマンドであるということである。UberやAir bnbといった、タクシーやホテルが ”今まさに必要だ” という時にその需要を満たしてくれる、といったサービスを提供するのがオンデマンドの最大の魅力であり武器である。フレクゼで実際にあった例として、シアトルに本拠を置くワインのホールセラー(卸売り会社)が、ワインの需要が増加する連休シーズンに向けて在庫を増やそうと倉庫を探していたが見つからず困っていた時に、フレクサのオンデマンド倉庫マッチングサービスを利用することで増加した在庫を店舗のより近くで保存する場所を簡単に見つけることができ、さらに、前もって見込んでいた17万ドルの余分な費用を節約することに成功した。この成功例はまさにフレクサのオンデマンドサービスの真骨頂といえる。

 

配送委託業

フレクゼは配送委託業もかねてサービスを提供しており、配送時にそれぞれの企業のブランドや配送ポリシーなどに沿った配達を推新している。世界中にあるウエアハウスからの配送が可能になるため配達場所にできるだけ近い倉庫から配達ができ、配達コストも下がり、かつ配達時間も短縮できるというのが魅力である。下がった配達コストや配達時間短縮は結果的に顧客により安いサービスを提供できたり、カスタマーエクスペリエンスの向上につながることでサービス利用者の拡大が図れる。

 

全てをこなす統一のプラットフォーム

在庫、注文管理、配送状況、決済管理まで配達の一環のすべてをフレクゼのプラットフォーム一つで管理でき、eコマースサイト運営者などの商品が非常に多く管理が難しい業態でも簡単に管理が可能になる。

 

アマゾンとの差別化

フレクゼはアメリカだけで300以上のウエアハウス、カナダなどを含め世界中に1000以上のウェアハウス提供者と提携している。また1000万スクエアフィート(0.92キロメートルスクエア)以上の範囲の倉庫面積という広範囲のネットワークを形成しているフレクゼは、アマゾンが莫大な投資をかけて築き上げた150以上のウェアハウスよりも圧倒的に数が多く、しかもほぼ設備投資なしでそのネットワークを築いた。またアマゾンはFBA料金と呼ばれる在庫保管に対する保管料を利用者から徴収し収益源としているが、フレクゼを利用するとFBA料金と比べて最大で約80%程度節約できる。また、配送がアマゾンプライムよりも早い。注文を受けて次の日には商品が届く翌日配送を推進しており、アマゾンのプライム会員が利用できる翌々日配送(2日後配送)に引けを取らない。また、アマゾンで出品すると小売業者やビジネスオーナーからすれば、個々の自社のブランドがアピールしにくいが、フレクゼを利用すれば、自社サイトを通じて注文を受けられるので顧客と直接的な関係を維持できるという利点がある。

 

5. 競合分析

 

Flowspace

f:id:wataru1015:20190324062644p:plain




2017年5月に設立され、全米にウェアハウスのネットワークを持つ。サービスとしては、ウェアハウスの貸し出しサービス、イーコマースフルフィルメント、小売業者向けフルフィルメント、輸送業全般を行っている。輸送業ではBtoB、Btoc間のどちらも受託している。また、WMSと呼ばれるクラウドベースのウェアハウス管理システムのプラットフォームも提供している。ウェアハウスは月単位で借りることができ、最低の貸し出し下限スペースはなく、小さいスペースも簡単に借りられる。ビジネスの特性としてはオンデマンド型ウェアハウス貸し出しサービスで、フレクゼとほぼ同じようなサービスを提供している。

 

Stord

 

f:id:wataru1015:20190324062639p:plain

アトランタを拠点として長期期間の契約を必要としないオンデマンド型ウェアハウス貸し出しサービスを提供している。Stordの在庫管理プラットフォームでは簡単に在庫レベルが把握でき、かつどこのウェアハウスにどの商品がどれぐらいあるのかというのが一瞬で分かる。メール管理、注文管理、電話番号管理などすべてをクラウドプラットフォーム上で処理でき、平均で従業員一人あたり約25分ほど時間節約が可能になる。2日以内の配達を推進している。

Ware2go

f:id:wataru1015:20190324063155p:plain

ウェアハウスプロバイダーとウェアハウス需要者をつなぐマッチングサイト、リアルタイムの在庫や注文データ管理、無料で利用できる在庫レベル分析データや統計、使いやすいプラットフォームなどが特徴である。ウェアハウスプロバイダーにとっては、手間がかかる決済管理も必要なく、インボイスを自動で送ってもらえる。また無料でStordのオンラインクラウドプラットフォームを利用でき、倉庫の貸し出し管理が簡単になる。ウェアハウス利用者にとってはミニマムチャージ(最低料金)がなく、最小単位のスペースから借りることが可能で、長期間契約の必要もない。2日後配達を保証しており、UPSと提携している。サービス内容としてはフレクゼとほぼ同じである。

SpareFoot(スペアフット)

f:id:wataru1015:20190324063158p:plain

 

個人向けにストレージ倉庫貸し出しサービス、車の駐車スペース貸し出しサービス、引っ越し時のトラック手配などを行っている。ストレージ貸し出しサービスでは、梱包、倉庫への配送、保管管理、使用時の利用者の家への配達など、顧客は何もせずとも所有物をストレスなく管理できる。車の駐車スペース貸し出しサービスでは、個人向けに屋外での屋根なしもしくは屋根付きスペースや屋内でのスペース、または自動車販売会社向けの駐車スペースの提供など大規模に行っている。約1万以上の倉庫のネットワークを持っている。競合カテゴリーとしてはオンデマンドの個人向け倉庫の貸し出しサービスであり、フレクゼとはウェアハウス貸し出しという点では同じであるが、サービス対象やそのサービスに必要な倉庫面積、もしくはスペースタイプ(倉庫ではなく駐車場)などが異なる。

 

その他の競合となりうる企業

Storemate

f:id:wataru1015:20190324063150p:plain

個人向けにセルフストレージの貸し出しマッチング事業を展開している。C toC の個人向けに安く借りれるのが特徴なので、小売り業者やイーコマース運営者向けのBtoC、BtoBではない。

Austin tenant advisors  

f:id:wataru1015:20190324063146p:plain

オースティン地域に特化した、オフィススペースや倉庫の貸し出しを行っている。ウェアハウスマッチングサイトというよりは物流不動産紹介業に近いと考えられる。

 

6.  成功要因

 

なぜフレクゼのビジネスは短期間で急拡大し、売り上げ高を2014年から2017年の間に約70倍にまで伸ばすことができたのだろうか。そして、どのようにして短期間で1000以上ものウェアハウスプロバイダーのネットワークを構築することができたか。この売り上げ高の急激な成長要因はウェアハウスの需要の拡大によるフレクゼのサービス利用者の増加があげられる。次にウェアハウスの賃貸料の上昇により、倉庫一つを丸ごと借りるよりも倉庫内を小分けにしてスペース単位で”その時に必要な分だけ借りる”というオンデマンド型サービス需要の増加である。また、巨大なネットワーク構築の成功要因としてこれまでのウェアハウス利用における非効率性があげられる。その他の要因としては、Eコマース市場の拡大、近年の配達スピードの短縮傾向、配達コストの低下などがあげられる。



ウェアハウス需要の拡大

f:id:wataru1015:20190324065511p:plain

 

まず成功要因としては、近年のアメリカにおけるウェアハウス(倉庫)需要の拡大があげられる。その理由は、毎月発表されるアメリカの雇用統計では歴史的に見ても低い失業率を維持しており、アメリカ国内の消費も順調でアメリカ経済は現在成長の一途をたどっている。その中で、アマゾンなどのECサイトの普及により、爆発的にオンライン上での消費が増え、その商品を保管するウェアハウス需要が劇的に拡大しているというのが理由である。左の図の棒グラフは2010年から2018年のウェアハウス需要と供給の差の推移を表しており、 ゼロよりも上で推移していれば需要が供給を上回っているという意味である。グラフを見てみると、この10年の間ほぼすべての年で需要が供給を上回っていることが分かる。また、2016年をピークに需要と供給の差は減少しているが、2017年の後半からまたその差が開き始めており、ウェアハウス需要の底堅さがうかがえる。さらに、緑の折れ線グラフはVacancy Rate(ベイキャンシーレート)とよばれ、これは今現在あるものと建設中のものもすべて含めたアメリカ中のウェアハウスの数から、今すでに利用されているウェアハウスの数を引いて、どれくらい空きスペースのあるウェアハウスがあるのかという割合を示した数字の推移である。ベイキャンシーレートが低くなれば低くなるほどウェアハウスの需要が高まっていて倉庫の空きスペースがないという状況を指している。グラフを見ると2010年以降毎年ベイキャンシーレートは下降し続けており、直近のレートは4.9%と過去最低を記録している。この10年間アメリカにおけるウェアハウスの需要は常に高く、アメリカ中の倉庫の空きスペースがどんどんなくなっていることが分かる。

Colliersが提供しているアメリカのマーケットリポートによると、2018年の第3四半期において203.6ミリオンスクエアフィート(約18.91kmスクエア)面積がウェアハウスに使われており、これは2017年に比べて11.3%も高くなっている。ウェアハウスの需要は今現在かなり高く、今後もアメリカ経済の成長ととも拡大していく見通しである。

 

ウェアハウス賃貸料の上昇

f:id:wataru1015:20190324065505p:plain

ウェアハウスの需要の拡大に伴って、ウェアハウスの賃貸料が上昇している。下の図はアメリカの地域別に見た2015年から2018年のウェアハウスの賃貸料を示したものである。アメリカ全土でのスクエアフィート当たりの平均賃貸料は3年前と比べて上昇傾向であることが分かる。また、特にロサンゼルス、ニュージャージー、インランドエンパイア(カリフォルニア南部)などの地域では特にその上昇推移が急になっており、ウェアハウスの需要が高いことが分かる。

f:id:wataru1015:20190324065509p:plain

次にロサンゼルス地域にフォーカスしてみるとその賃貸料の上昇はかなり異常であることが分かる。上の図はウェアハウス需要がアメリカの中でも比較的高いロサンゼルス地域の2017年から2018年におけるウェアハウスの賃貸料の推移を示している。上記で説明した2017年の需要拡大とともにわずか1年でスクエアフィートあたり約9.1ドルから10.1ドルと短期間で約1ドルも上昇している。

 

オンデマンド型サービスの需要増加

f:id:wataru1015:20190324065656p:plain

 

オンデマンド型サービスはAirbnbやUber、Lime、zipcarなどの企業が提供しているサービスであり、消費者が欲しい時にいつでもどこでも消費できるという特徴を持つサービスである。またそのオンデマンド型サービス市場経済のことをシェアリングエコノミー、アクセスエコノミー、オンデマンドエコノミーなどといい、近年では多くの人々にその言葉が定着しつつある。ハーバードビジネスレポートによるとアメリカでは現在約2250万人以上の人々がオンデマンドサービスを利用しており、トータルで約$57ビリオン以上ものお金が使われている。下図はアメリカのシェアリングエコノミーの将来の市場予測のグラフであり、2013年にはわずか$14ビリオンであったオンデマンドエコノミーだが、その市場規模は2025年までに$335ビリオンまでに膨れ上がる見通しである。

f:id:wataru1015:20190324065515p:plain

不十分で非効率なウェアハウス利用

フレクゼ設立者のカールは既存のウェアハウスの利用はかなり非効率で、もっと空いたスペースを有効に活用することを目的としてフレクゼを創業した。カールによると20%から30%のウェアハウスはその収容可能面積もしくは体積を十分に利用できていないと語っている。CBREのレポートによると、アメリカでは19.1ビリオンスクエアフィートの面積がウェアハウスに使われていることから計算すると、3.8から5.7ビリオンスクエアフィートという非常に広範囲な領域が、まだ十分に利用されていないと予測できる。これは見方を変えると、これからのオンデマンド型ウェアハウスサービスの成長ポテンシャルを表している。

 

配達スピードと配送料が鍵

近年アマゾンのプライム会員などでの無料2日配達などの普及で、消費者が配達スピードをより重視している。Colliersのレポートによると、3日程度で商品が’届くのが早いと感じるかという質問に5割程度が早いと感じていたが、2017年以降は約3割程度の人しか早いと感じていない。つまり、2日以内の配達が今後当たり前になり、しかも配達コストも下げなければ他社の無料配送に勝てないという問題にイーコマースサイト運営者、小売業者、輸送業者は直面している。フレクゼを利用することで、在庫管理、梱包、発送とすべての配送の流れにおいてコストが削減できるメリットがあり、また配達スピードも速いため、これらの状況がフレクゼの利用者を加速させた要因の一つであると考えられる。

 

米国イーコマース市場の拡大

 

f:id:wataru1015:20190324065659p:plain

 近年アマゾンをはじめ、ウォルマート、ターゲット、ホームデポ、ベストバイなど小売り大手もオンラインでの販売を促進している。上図の棒グラフはイーコマース市場の全体の売上高を示しており、2023年には$735ビリオンと着実に成長していることが分かる。また下の折れ線グラフは全商取引金額におけるイーコマースでの取引金額の割合を示しており、2018年には約10%と2010年の4%程度と比べても驚異的に成長している。イーコマース市場が拡大したことにより、全米、もしくは世界中の消費者に商品を最速で届けるためにより消費者の居住地に近い場所で在庫を保管するというニーズが高まったことがオンデマンドウェアハウス需要の拡大につながったことがあげられる。

7. 日本における類似ビジネスモデル

 

Souco

f:id:wataru1015:20190324070453p:plain

2016年7月に設立され、物流マッチング事業を展開している。倉庫の空きスペース提供したい企業とそれを使用して在庫など管理をしたい企業とをマッチングさせるサービスを提供している。クリスマスや年末商戦だけ使用したいなど期間限定のニーズでも、最小50坪、1か月単位で最短1日から借りられる。米国の不動産物流会社であるプロロジスと提携しており、プロロジスが持つ倉庫ネットワークを使い、倉庫提供者を増やしている。普通倉庫の貸し出しが主で冷凍、冷蔵庫のある倉庫は基本的には提供していない。料金に関しては倉庫提供者が提示する金額の2割が転貸手数料としての収入になっている。基本的に倉庫マッチング事業および倉庫の転貸事業が主であり、フレクゼのようにイーコマースや小売業者向けにフルフィルメント事業をやっておらず、梱包、発送などの作業は行っていない。現在はグローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社、および大和ハウスエ業株式会社も新たに提携し、倉庫総面積が3万500坪以上となっている。

イーソーコ

f:id:wataru1015:20190324070450p:plain

倉庫やテナントの物流不動産検索サイトである。全国の倉庫やテナントの貸し出し行っている企業をサイトで検索でき、ニーズに合ったサイズ、期間で借りることが可能。基本的に倉庫の貸し出しの検索ポータルサイトのみの運営でフルフィルメントサービスなどは行っていない。

 

Minikura

 

f:id:wataru1015:20190324070625p:plain
MinikuraはCtoC向けに個人の荷物倉庫スペースの貸し出しサービスを行っており、200円という少額から荷物を預けらるのが特徴である。箱単位で荷物を預けられ、アイテムごとにサイトやアプリで簡単に管理ができる。また預けているアイテムをヤフーオークションに出品できたりでき、とても画期的である。ポジショニングとしてはセルフストレージ貸し出しサービスであり、BtoB向けではない。

今年の半導体はどうなる?半導体市場を分析してみた。

目次

  1. 世界の半導体需要
  2. 世界の半導体供給
  3. 半導体の在庫
  4. 日本の半導体需要
  5. 今後の半導体市場

 1. 世界の半導体需要 

demand in Billion

2014

2019

demand growth

computing

105.4

107.2

1.71%

wireless

91.9

107.8

17.30%

consumer

53.9

61.4

13.91%

automotive

25.8

41.3

60.08%

industrial

32.1

42.9

33.64%

wired communication

25.6

29

13.28%

f:id:wataru1015:20190320063824p:plain

f:id:wataru1015:20190320063905p:plain

世界の半導体需要を製品ごとに分けてみると、コンピューターの計算処理に使われるものとワイアレス機器に使われる半導体が出荷額では最も多く、2019年時点で約$107ビリオンと、他の製品用途の半導体と比べると圧倒的に多くなっている。それに次いで電子レンジやビデオレコーダー、ゲームなどに使われる消費者用向け半導体が$61.4ビリオン、自動車に使われるものが$41.8ビリオンとなっている。5年前との需要成長率を比べてみると、自動車用の半導体が非常に伸びており、約60%の需要増となっている。 また、工場での熱や電流管理、センサーなどに使われる産業用向け半導体の需要成長率が33.64%とこちらも順調に成長していることがうかがえる。注目点としては、半導体製造素子の製造過程に欠かせない円盤状の半導体基盤である”半導体ウエハ”の需要が、電子メディアとスマートデバイスの需要増加により増大しており、半導体ウエハの需要は2024年には$40ビリオン以上となり、2018年から2023年までのそれぞれの年間成長率は7%になる見通しで、堅調に推移することが予想される。その中でも様々な用途に使われる直径300mmのウエハ需要の増加が特徴的である。ウエハは円盤の直径の大きさによって半導体としての効率性や生産性が変化し、直径が大きいほど効率性がよくなる。世界全体で見ると、世界半導体統計によれば、半導体全体の市場は2018年の$478ビリオンから2019年には$490ビリオンに成長する予定である。半導体の種類ごとの年間成長率を見ると、メモリー用半導体が33.2%、単純機能半導体(ディスクリート)が11.7%、オプトエレクトロニクスが11.2%となっており、メモリー用半導体の需要が比較的伸びていることがわかる。



  1. 世界の半導体供給

f:id:wataru1015:20190320064004p:plain

f:id:wataru1015:20190320064048p:plain

 

世界最大の半導体供給を誇るのは、韓国サムスン電子である。次いでインテル、SK Hynix, Micron technology(マイクロンテクノロジー、Broadcom(ブロードコム、クアルコムと続く。特に顕著なのは韓国勢のシェアの急拡大である。SK Hynixは2008年時点では、ほとんどシェアがない状態であったが、2018年時点で世界3位に躍り出ている。

 

世界の半導体供給は2017年度から2018年度で比べると、サムスン電子が売り上げ面で1位の座に輝いており、2018年第三四半期時点で$19ビリオンとなっている。また、売上高の年間成長率は27.1%でトップ10の中では3番目に高い成長率となっている。一番成長率が高いのが韓国のメモリー用半導体サプライヤーであるSK Hynixの42.7%である。アメリカのMicron technologyも31.1%と世界第2位の成長率である。世界のトップ10の売上高年間成長率の平均は、20.7%でありそれ以外の平均である5.4% と比べるとかなり高く市場全体の平均をトップ10の半導体会社が引き上げている。しかし、2019年を含む今後の半導体サプライヤーの売り上げ成長は鈍化する見通しが立っている。世界半導体統計の報告によると、メモリー用チップの価格の下落、そして半導体在庫の世界的な供給多過により、データセンターのサーバー用の半導体や自動車用半導体の需要の伸びが鈍化すると予測されている。AIやIOTによる半導体需要の加速が引き金となるのは、もう少し先のタイミングになる可能性がある。

f:id:wataru1015:20190320064414p:plain

 

  1. 半導体の在庫

f:id:wataru1015:20190320064409p:plain

 

f:id:wataru1015:20190320064412p:plain



世界の半導体の在庫は2017年5月から全体的に増加気味であり、有名な電子機器製品サプライヤーであるHPEやDELL、Lenovoなどといった半導体の顧客側(買う側)のデータセンターのサーバー用のDRAM(メモリー半導体)の在庫が増加している。これにより、メモリー半導体価格の下落が予想される。具体的な数値の予測としては、2019年の第一四半期の半導体平均価格は前期と比べて28%程度下落する見通しである。



上記のグラフが示すとおり、韓国のサムスン電子やSK Hynix, アメリカのMicronTechnologyなどの半導体の供給側(売る側)の在庫も年々増加傾向にあり、特に2018年後半からの増加が顕著であることがわかる。半導体価格も2018年の第三四半期を発端として、$300USDから$200USDを切るところまで急激に下落している。

4.日本の半導体需要

下図のを参照してもらうとわかるが、日本の半導体需要は減少傾向である。2003年時点では21.4%程度の需要のマーケットシェアがあったが、現在では5.4%となっている。反対に、中国の消費量のマーケットシェアは2003年時点と比べて約3倍以上になっており、年々増加している。

f:id:wataru1015:20190320065637p:plain

5.今後の半導体市場

米中貿易摩擦の影響により中国の半導体需要が衰えてきているが、実際これは日本にとっては好機とも言える。中国の大半の半導体は米国からの輸入に頼っており、米国の半導体輸出制限により中国は日本や香港などから輸入する必要になってくる。これはいわゆる特需と言える状況になる可能性が極めて高い。GAFAによるデータセンターの投資抑制により、メモリー用半導体の需要が鈍化しているが、5G向け、そして4Kコンテンツ用の半導体需要の増加により2019年の後半には半導体市場は上向きになる見通しである。今後の半導体の需要増加の発端としては、IOTの推進、またはデータセンターの低消費電力の需要増加が要因となる可能性が高い。

 

 

キャッシュレス化への流れは必然?! 日本の決済事情の現状をまとめてみた。

  • 2017年の日本の電子マネーによる決済金額が5兆1994億円で、問題なのは、世界では、電子マネーによる決済が爆発的に増えているにもかかわらず、日本の伸び率は前年と比較してわずか1.1%
    • Suica(スイカ)など交通系5社とEdy(エディ)、WAON(ワオン)、nanaco(ナナコ)の8社の合計額で、電車などの利用分は差し引いてあるという条件付きだが、それにしても世界の趨勢とは大きくかけ離れている。
    • モバイル決済の世界市場予測は2020年の段階で3.8兆ドル(約400兆円
    • 2017年が1.2兆ドル程度であることを考えると、今後の3年で3倍に増えると予想されている。
    • 日本銀行が1年前の2月に発表したデータによると、紙幣や小銭を合計した現金流通高に対する名目GDP(国内総生産)比率では19.4%に達する。日本の名目GDPは550兆円ぐらいだから、110兆円ぐらいの現金が流通していることになる。実際に、2017年末時点で流通しているお札の額は106兆7000億円(日本銀行調べ)
    • 先進国と比較してみると、ユーロ圏では10.6%、米国は7.9%、英国に至っては3.7%

 

  • 世界の潮流は「キャッシュレス化」。電子マネーやクレジットカード、仮想通貨などの普及によって、中国やインドなどの人口の多い地域で爆発的にキャッシュレス化が進んでいる。
  • 今後2027年6月までの10年間でキャッシュレス決済比率を4割程度に目指すことを決めている。

 

  • 中国にはアリババの「Alipay(アリペイ)」、テンセントの「WeChat Pay(ウィチャットペイ)」が「QRコード」を使った決済システムを展開しており、急速にそのユーザー数を増やしている。
  • 中国は、モバイル決済先進国とも呼ばれています。クレジットカードの利用率も高いですが、スマホ利用者の98%がモバイル決済を利用している



キャッシュレス化によるメリット

  • 銀行のATMは不要になり、コンビニのATMも不要になる。
  • 銀行も、店舗の中に巨大な金庫をつくる必要がない。
  • 中央銀行が現金を印刷する必要がない。1万円札1枚を印刷するのにかかるコストは22円程度かかる、500円硬貨などコインの鋳造コストはもっと高い。

デメリット

  • 地方銀行の平均的な純利益の額は約147億円(2016年3月期)だが、その約13%はATM手数料で稼ぎ出している。
  • ATM手数料だけで利益を稼いでいるセブン銀行では、純利益261億円のうちの99%をATM手数料で稼いでいる。
  • 銀行経営の悪化に直結する
  • フィンテックの進展によって、2025年までに銀行の収益が最高で4%喪失するという予測も経産省のレポートで発表されている。
  • 高齢化の中で拡大するデジタル・デバイド問題への対応 -----> 一般的にスマートフォン等のデジタル端末への適応に障壁を感じると される高齢者層等にどのようにアプローチするか

 

今後予測

  • 三菱UFJフィナンシャル・グループが進める「MUFGコイン」や、みずほフィナンシャルグループが推進する「Jコイン」などが、今後稼働を始めれば日本経済にも大きなインパクトを与える
  • ブロックチェーンによる個人情報管理などの推進が進めば、日本の非効率的な行政サービスも、飛躍的に改善。
  • 個人情報の新管理システムの構築化は、現金流通の進捗具合と大きく関係
  • デフ ァクトスタンダードと呼べる、業界共通の個人間送金・支払サービス、QR コードや 生体認証等のサービスの整備の検討は有効
  • 「月の利用額がすぐに分かるアプリ」や「利用状況のアラート設定(例 えば、月に累積 3 万円の利用に到達したらスマートフォンのアプリを通じプッシュ 通知を送る等)」や「利用限度額及び利用業種制限の柔軟な設定」を行えるように することで、キャッシュレス支払サービスの使いすぎに対する不安感を除去するよう な仕組みを実現できる。これは支払サービス事業者が、家計簿サービスを提供す る FinTech 企業等と共同で実施することも考えられる。

政府主導の政策

”「FinTech」 – 先進国に比べていまだに現金取引比率が高く、また中小企業の IT 活用も 限定的であることから、FinTech 導入による大きな効果が期待できる。 → 利用者にとっての金融関連サービスの利便性を飛躍的に向上させ るとともに、企業の資金調達力や生産性・収益力の抜本的向上につ なげていく”

  • 2017 年 3 月に「クレジットカードデータ利用に係 る API 連携に関する検討会」を立ち上げ、カード会社と FinTech 企業等との API 連携のあり方について検討を開始
  • キャッシュレス ビジョン 資料

 http://www.meti.go.jp/press/2018/04/20180411001/20180411001-1.pdf

「QRコード」関連株

 

  1. QRコードをベースにしたスマホ決済ツール「PayB(ペイビー)」を展開するビリングシステム <3623> [東証M]、
  2. QRコードを活用した電子通貨サービス「MONEY EASY(マネーイージー)」を手掛けるアイリッジ <3917> [東証M]、
  3. QRコードの読み取りアプリを扱うメディアシーク <4824> [東証M]、
  4. 子会社がQRコードを用いたデジタルウォレット「pring(プリン)」を提供しているメタップス <6172> [東証M]、
  5. 子会社がモバイルペイメント対応マルチ決済端末を販売しているテクノホライゾン・ホールディングス <6629> [JQ]、
  6. バーコードリーダー大手のオプトエレクトロニクス <6664> [JQ]、
  7. 銀行口座直結型スマートフォン決済サービスの提供を目指しているエムティーアイ <9438>
  8. さまざまなカード決済に加え、国内外で普及が進んでいる非接触型ICクレジットカードにも対応できる据え置き型マルチ決済装置「インクレディスト・トリニティ」を7月に発売するとしているフライトホールディングス <3753> [東証2]
  9. イオン <8267> は16日、ビザ・ワールドワイド・ジャパン(東京都千代田区)とキャッシュレス決済で連携すると発表。19年3月から20年3月にかけて、全国のスーパーやドラッグストアなどグループ各店舗約10万台のレジに、Visaのタッチ決済が可能な端末を順次導入し、訪日外国人に対応する構え

2018年設立、漫画ビレッジから生まれ変わった漫画情報サイト ”アル”

無料でマンガが読めるというマンガが大好きな読者からしたらまさに天国のようなサイト、漫画村。2017年ごろから急速に口コミなどで広まり、月間の利用者数が1億人に迫ろうとしていた矢先、2018年4月に閉鎖された。このニュースは大々的に日本中で報道され、違法マンガサイトの存在にスポットライトがあてられた。違法マンガサイトは読者には天国であるが、出版社や著者にとっては、マンガが売れずに利益が伸びない、まさに悪魔のようなサイトである。そんな海賊版サイトに対抗して、設立されたのがマンガビレッジ。このサイトは昨年にリニューアルされ、”アル”というマンガの情報交換サイトに生まれ変わった。そんなアルが世界の違法マンガサイトに対抗できるかを吟味してみた。

 

目次

 

紙と電子コミックの市場規模

 

国内の合法漫画サイト

 

国内の違法漫画サイト

 

海外の合法漫画サイト

 

海外の違法漫画サイト

 

合法の漫画サイトを利用するインセンティブ

 

アルができること

 

紙と電子書籍の市場規模

そもそも現在、どのくらい電子書籍は普及しているのだろうか?

全国出版協会によれば、実は、紙の書籍は市場ではまだかなり高いシェアを誇っている。2017年には1兆5916億円という書籍全体の市場規模の約86%を紙の書籍が占めており、電子はわずか14%程度である。しかし、電子書籍の推移をみると、2011年から比較して、約4倍程度に拡大している。また直近の2015年からの推移をみても、2016年には26%、2017年には16%と毎年2桁の伸び率で市場が成長している。電子書籍が成長する要因としては、デジタル世代とよばれる若い人たちがスマホやパッドなどのデバイスの普及により、いつでもどこでも読めるということを好む傾向にある。出版市場全体の規模はこの数年では縮小傾向であるが、電子書籍市場は勢い良くシェアを伸ばしており、今後間違いなくシェア率をさらに高めてくると思われる。

また、電子書籍の中でもやはり圧倒的に多いのがコミックである。2017年時点では、電子書籍のうち約82%が電子コミックであり、人気の高さがうかがえる。さらに2011年時点と比較して、約3倍以上になっており、年々成長率が衰えないことから今後も成長市場であるといえる。

 

国内の合法漫画サイト
国内の漫画アプリ、ウェブサイト内で圧倒的に人気を誇っているのがライン漫画である。26.9%で堂々たる1位のシェアであるが、引き続き、少年ジャンプ+、Comico、ビッコマ、マンガワンと順になっている。では、それぞれのサービスにフォーカスしてみよう。

LINEマンガ
無料の漫画も多数提供。LINEコインを買って、有料漫画を購入できる。

LINEのSNSと連動しており、LINEアプリの中でコメントを読んだり、読んだ感想をシェアしたり、ラインで友達に漫画を紹介したりを簡単にできる。

また、細かなカテゴリーごとに漫画が検索しやすく、読みたい漫画を気分に合わせてすぐ検索できる。LINE漫画の最大の特徴は、漫画を購入すると、LINE漫画限定のステッカーがタダでもらえるというお得なキャンペーンが多数ある。また、1巻無料キャンペーン、ユーザーの性別に合わせたコンテンツのカテゴリー分け、など多くの若者を惹きつける魅力的な広報活動を行なっている。


アプリダウンロード数:2000万以上

月間ユーザー数:279万人(2017年)

無料マンガ作品数:約1000以上

総作品数(単行本、有料書籍含む):15万以上

出版社提携:250万社以上

資金調達実績:86億円(2018年6月)


ビジネスモデル

  1. コイン購入料
  2. LINEマンガアプリ内の広告料
  3. 有料会員のサブスクリプション料金
  4. オリジナルコンテンツの単行本化、アニメ化、映画化、ゲーム化
  5. 電子書籍ストアでの販売収益

漫画図書館Z

 

絶版になった漫画、単行本化できなかった漫画、まだ売れていない漫画家の作品などを無料で読めるサイトを提供している。このサイトにより、読者は今は店頭に売られていない過去の大ヒット作品や懐かしい漫画などをいつでも読むことが可能になり、また作家は自分の過去の作品が再度読まれ、コメントをもらうことができ、そして広告料を受け取ることができる。その上、過去の面白い作品を知ってもらうことで現在認知度の低い同じ作家の新しい作品も読まれやすく、店頭の漫画への需要刺激にも繋がる。

また、サイト運営側は、広告収入ビジネスだけでなく、漫画のPDF版、デジタル化を推進し、有料でキンドルなどで販売している。また、OCRという51カ国自動翻訳機能を導入しており、世界中の人が読めるという新しい試みもしている。また、年代別にカテゴリー分けがされてあったり、ライトノベル、女性漫画、成人向けのコンテンツも楽しめる。

注目の取り組みとして、違法漫画村に対抗して、出版社や作者にしっかりと閲覧料が支払われるような仕組みの実証実験を行なっている。

 

無料作品数:1200以上

総合閲覧数合計:276,238,520

月間読者数:100万人以上

 

ビジネスモデル

  1. サイトの広告収入(作家の取り分が100%なので、運営側には収益なし)
  2. PDFやデジタル版の有料販売
  3. プレミアム会員料

Comico

 

Comico独自のオリジナル漫画が毎日アップデートされていて、すべての作品が白黒ではなく、カラーで読みやすくなっている。また、スマホやタブレットでも見やすく縦読みができたり、読者も作品を投稿できたりして、クリエイティブになる場も与えられいる。さらに、レンタル券というチケット制というのを導入しており、1日ごとに無料で作品の1話が読める。そのチケットをキャンペーンとして無料でもらえたり、チケットをまるごと使い、おすすめの作品を読むことが可能である。海外版アプリもあり、台湾、韓国、タイとアジア圏の漫画需要の多い国をはじめとして、世界中でダウンロードされている。また、電子版の漫画を有料で購入できるが、その価格がほかのkindleや楽天などの電子書籍と比べて比較的安く提供されている。サイドビジネスとして、ComicoSHOPというオンラインでのグッズ販売も行っていて、好きな漫画のキャラクターやロゴのTシャツやバッジ、小物などComicoでしか買えない限定品も多数販売している。面白い取り組みとして、WEB版とアプリで成人向けなどのコンテンツで差異化したりと、WEBでも読者に楽しんでいただけるように取り組んでいる。

やはり、注目の取り組みとしては、独自オリジナル漫画の配信、読者が作品を制作して投稿できる革新的なプラットフォームがあるというのが最大の魅力である。

 

無料作品数:12000以上

世界累計ダウンロード数:2800万以上

国内ダウンロード数:1400万以上

利用者数:260万人以上

 

ビジネスモデル

  1. アプリ内、ウェブ内での広告収益
  2. グッズ販売による収益
  3. チケットの購入料金
  4. 電子書籍の有料販売
  5. 成人向け版アプリのダウンロード料金、有料作品の収益
  6. オリジナルコンテンツの単行本化、アニメ化、映画化、ゲーム化

マンガワン

 

小学館が配信してるということで有名である。日本で非常に人気な漫画アプリであり、Comicoなどとビジネスモデルなどが似ている。ライフと呼ばれる無料で読める券がアプリ内で存在し、一日約8話分は無料で読めることになっている。その後は、チケットを購入して課金して読むことも可能である。特徴的なものとしてSPライフというのがあり、他社のサービスに会員登録するなどミッションを完了することで、もらえるチケットもある。マンガワンの取り組みとしては読者投票により、ランキングを事細かにつけて、人気のある作品はランキングに応じて、作者に対する報酬も上がり、また読者にとってもアニメ化できる可能性が上がることから、双方に利益があるような取り組みを行っている。

作品としては、有名な連載作品から、独自の漫画を期間限定で配信したりとかなり多彩なコンテンツになっており、アプリもしくはウエブ限定作品なども掲載している。また曜日ごとに違う作品の連載を行っているので、テレビを見ている感覚で毎日違った作品を楽しめる。ウエブ版では特に裏サンデーが有名で少年サンデーでの掲載終了の有名作品などを毎日配信している。通信販売マンガワンSHOPでは、掲載作品のグッズ販売も行っている。

 

無料作品数:100以上

総合ダウンロード数:1400万以上

月間ユーザー数:250万人以上

利用者数:247万人以上



ビジネスモデル

  1. アプリ内の課金(チケット購入料金)
  2. グッズ販売収益
  3. 広告収益
  4. SPライフなどの他社サービスへの登録時発生の契約料
  5. オリジナルコンテンツの単行本化、アニメ化、映画化、ゲーム化

 

少年ジャンプ+

ジャンプ連載の有名作品、または番外編などを初めの3話を無料で読めるという画期的なまんがアプリで、名前は聞いたことあるけど実際に読んだことがないという読者には門戸が開かれており、新しいマンガに出会える可能性がある。また、キャンペーンも豊富で、キン肉マンやべしゃり暮らしなどの人気漫画が期間限定で、ある一定の話数を無料で公開するなど大胆に行っている。また、少年ジャンプの発売日にアプリ内で電子版を購入可能で、定期購読などを利用すれば店頭で買うよりも60円ほど安くなっている。新作の漫画はもちろん、少年ジャンプオリジナルのコンテンツも読むことができる。また、電子書籍ストアであるジャンプBOOKストアでは、有料で新刊を電子版購入できる。その際、試し読みも可能であり、じっくり新しいマンガを探せるようになっている。また、購入した作品はウエブ、アプリと連動して本棚に管理され、整理しやすくなっている。有料コインは購入も可能だが、クレジットカードなど他社サービスへの申し込み、広告動画の視聴、じゃんけんキャンペーンでのじゃんけんで勝ったりすることで無料でもらうことも可能であり、なるべく課金を避けたい学生にはとても便利である。また、少年ジャンプルーキーというサービスがあり、誰でも作品投稿ができ、作家デビューができる。オリジナルグッズの販売にも力を入れており、読者の好きなシーンのプリントTシャツが作れるという魅力的なサービスもある。

 

無料作品数:120以上

ダウンロード数:800万以上

利用者数:118万人以上

 

ビジネスモデル

  1. アプリ内の課金
  2. ウェブ、アプリ内の広告収入
  3. 電子書籍ストアでの販売
  4. 成果報酬型広告の契約料
  5. オリジナルグッズ販売収益
  6. オリジナルコンテンツの単行本化、アニメ化、映画化、ゲーム化

 

マンガボックス



DeNAが提供している日本で有名なまんがアプリの一つである。約3話から5話分は無料で閲覧可能である。SNSとの連動もしやすく、読んだ作品の共有を手軽に行えるのが特徴である。サービス内容は競合他社と変わらず、曜日ごとに日替わりで配信マンガがかわり、コインを購入して閲覧できる。また、電子ストアにて作品の購入、マンガボックスインディーズと呼ばれる、読者による作品の投稿可能機能なども提供している。また、課金せずとも、1週間まてば自動的に無料で読むことが可能になり、無理に雇員を購入して焦らずに読まずとも、ゆっくり読んでいきたいという読者にはかなりお得である。紹介されている他社サイトの会員登録や動画視聴による無料コイン配布も行っている。さらに創立5周年を企画し、マンガボックスダービーを2018年に開催し、抽選で5万円分のボーナスコインの配布などマンガイベントが多数ある。また、アプリの対応言語は欧米、アジアを含め、約140か国と幅広く、特に日本に次いでアメリカ、中国、香港とアクセス数が多い。

 

公開作品数:500以上

利用者数:119万人以上

ダウンロード数:1000万以上

マンガボックスインディーズの

作品数:5400以上

 

ビジネスモデル

  1. 有料コイン購入収益
  2. 電子書籍ストア販売収益
  3. オリジナルコンテンツの単行本化、アニメ化、映画化、ゲーム化
  4. 成果報酬型広告の契約料
  5. 広告収入

 

海外合法漫画サイト

 

アニメプラネット(Anime Planet)

2001年に設立されたアニメやマンガの情報交換サイトであり、人気ランキングや現在連載中の漫画の動向、また読んだ作品の感想やおすすめ理由から自分が好きそうなマンガを提案してくれるという便利なサイトである。多様なジャンルから自分の好きな漫画を検索することが可能で、読んだ漫画、見たアニメのリストを作って感想をフォーラムに投稿できる。投稿した感想はサイト内でシェアされ、他の人との意見交換、他の漫画の情報などもらうことができる。サイト内のコミュニティはかなり充実している。

 

利用者数:100万人以上

作品紹介数:33000以上

月間ビジター数:1400万以上

平均サイト利用時間:約4分

世界アクセスランキング:4166番目

サイトアクセス国:アメリカ25.24%、イギリス6.77%、ブラジル5.12%、カナダ3.62%、オーストラリア3.59%

 

ビジネスモデル

  1. 広告収入

 

Pixivコミック (ピクシブ)

マンガやアニメファンやイラスト好きな人々のコミュニティサイトから発展した無料マンガサイト。ホラー、恋愛、アクション、ファンタジーなどカテゴリーごとに自分の読みたいジャンルの漫画を検索できる。特徴として、550万以上のユーザーからの投稿作品があり、作品の量、利用者数ともに巨大な漫画コミュニティサイトであることがわかる。毎月400以上もの作品が更新されており、常にあたらしい作品に読者は触れることができる。週間ランキングも発表しており、男女別に人気作品を検索し、読むことが可能である。また。月例賞など、毎月おもしろかった作品、または人気があった作品は、注目作品として大体的に広報されたり、連載されたりする。電子コミックストアもあり、キングダムなど人気作品も購入できる。有料の電子コミックは、試し読み機能も充実していて、無料で1話、もしくは2話まで読むことができる。ピクシブノベルではマンガ以外の小説なども読める。有料会員になれば、月額600円で広告を非表示にでき、スムーズにマンガを堪能できる。

 

ユーザー投稿作品:550万以上

公式連載作品:4000以上

利用者数:3000万人以上

月間ビジター数:1000万以上

平均サイト利用時間:約8分

サイトアクセス国:日本79.33%、アメリカ3.78%、台湾2.13%、ブラジル1.73%、中国1.09%

 

ビジネスモデル

  1. ピクシブプレミアム有料会員
  2. ウェブ、アプリの広告収益
  3. 電子書籍購入収益

 

Comic Trim (コミックトリム)

 

Comic Trimは海外の合法漫画アプリで、アンドロイドアプリでのみ運営されている。シンプルで簡単にモバイルでどこでもマンガが読めることがコンセプトになっており、ZIP、PDF、CBZ、RAR、などさまざまなタイプのファイルに変換してダウンロードができる。アプリの料金は無料であるが、広告なしで読むことが可能になるComic trim Proは、$2.49となっている。有料バージョンでは、目に優しい夜間モード機能、オールカラー機能、高画質バージョンなど多彩な機能も利用できる。また、10か国の主要言語に対応しており、フランス語、ロシア語、ドイツ語など一瞬で切り替えることができるのが特徴である。

ダウンロード数:1万以上

 

ビジネスモデル

  1. アプリ内広告収益
  2. 有料バージョン収益

 

Crunchyroll Manga(クランチロールマンガ)




Crunchyroll Mangaは、マンガやアニメのストリーミングアプリであり、英語圏では世界最大級の漫画作品数、アニメ作品数である。無料版、もしくは月額6.95ドル、と11.95ドルの有料版ともに利用可能で、有料版ではCrunchyroll Mangのすべてのコンテンツが利用可能でアップグレード次第で、広告なしにもできる。最大の特徴としてはマンガとアニメを同時に提供しており、定額で毎月支払いすれば、進撃の巨人、フェアリーテイル、宇宙兄弟といった大人気作品をアニメとマンガのどちらも楽しめるというマンガ、アニメの両刀ファンにとってはたまらないサービスである。フォーラムやチャットも利用でき、クランチロールコミュニティも巨大でマンガ、アニメの情報交換、意見交換の場も提供されている。スペイン語、ポルトガル語など多言語にも対応している。

 

有料会員数:100万人以上

ウェブサイトの月間ビジター数:8200万以上

世界のサイトアクセスランキング:609番目

平均サイト利用時間:約11分

サイトアクセス国:アメリカ42.30%、ブラジル8.82%、イギリス6.12%、カナダ4.47%、オーストラリア3.80%

 

ビジネスモデル

  1. 有料会員サブスクリプション収益
  2. 広告収益

 

海外漫画違法サイト

MangaFox(マンガフォックス)

マンガフォックスは、新刊の漫画から古いマンガまで無料で読める、著作権を侵害している海外違法サイトで、言語は基本的に英語である。更新も早く、はじめの一歩など巻数の多いマンガでも全巻そろっているなど、かなりの数の漫画が読める。カテゴリーも豊富であり、スポーツ、コメディ、恋愛、成人向けまで、ほぼすべてのジャンルを網羅している。世界中のスキャンレーター呼ばれる、マンガを翻訳し投稿する人が英語に翻訳したマンガを他のサイトから盗み、マンガフォックスに掲載して、大量の著作権違反の漫画を一つのサイトに集約しているというのが特徴であり、世界中のウェブサイトの中で1241番目にアクセス数が多いサイトとなっている。

 

作品数:8000以上

月間ビジター数:173000以上

サイトの平均利用時間:約6分

サイトのアクセス国:アメリカ16.60%、イギリス7.13%、スペイン6.85%、カナダ6.02%、フィリピン6%




ビジネスモデル

  1. 広告収益

 

Mangahere(マンガヒア)

 

mangahereは、マンガフォックスと同じく違法サイトであり、ビジネスモデル、サービス内容はマンガフォックスとほぼ同じである。特徴として、ほかの読者のレーティング、コメントが充実していたり、またニコニコ動画のようにマンガを読んでいる最中にDanmakuと呼ばれるコメントや感想を投稿できるのがオリジナリティのある機能の一つである。また、Manga Zoneというアプリも提供しており、無料で違法にマンガが大量に読める環境を作り出している。また、ニュース欄もあり、マンガの新刊情報などの収集も簡単にできて、SNSへのシェアも手軽に行える。ランキングも月間、週間、日中などいろいろなランキングから読みたいマンガを探せる。アップデートも毎日行われており、随時新しいエピソードが更新されている。

 

作品数:25000程度

Manazone アプリの作品数:15000以上

月間ビジター数:1500万以上

平均のサイト利用時間:約15分

サイト人気世界ランキング:1180番目

サイトへのアクセス国:アメリカ42.25%、ブラジル7.52%、フランス4.54%、カナダ4.06%、ドイツ3.47%



ビジネスモデル

  1. 広告収益

 

その他の海外マンガ’違法サイト

ReadManga

Manga Town

ReadMangaToday

GoodManga

BuluManga

Kissmanga

Mangahome

Mangakakalot

Mangafreak

Mangastream

SenManga

RawQQ

Mangaraw

 

合法の漫画サイトを利用するインセンティブ

英語が読めるなら海外違法サイトを利用したほうが無料で、好きな漫画を読み放題状態になるので、海外違法マンガサイトを利用するデメリットはほとんどないかもしれない。しかし、日本の漫画家はマンガが売れなくなり、利益がなくなれば、いい作品を創出しようという意欲もなくなる。そうなれば、マンガの作品数は減り、クオリティも落ちるという悪循環に陥ることになりうる。このトレードオフはクリエイティブでない、ただただ消費するだけの読者にとっては、大好きな漫画が読めなくなる絶体絶命のデメリットになる。

 

アルができること

  1. 専用アプリを作り、広告収益をウェブとアプリで両方稼ぐ。
  2. カテゴリ分け、ジャンルを豊富にし、検索しやすくする。
  3. 無料で読めるマンガの量を大量に増やす。国内だと1000作品程度でも十分戦えるが、海外違法サイトに対抗するなら1万作品は欲しい。
  4. クリエイターが作品を投稿しやすいようなサイト環境を作る。もしくは、コインを与えるなど、インセンティブを与える。
  5. マンガ情報サイトとしてもっと口コミ、感想を充実させる。読者が一つの漫画について議論できるフォーラムや評価をつけられるようにする。
  6. 電子書籍購入の際にAmazonに誘導するのではなく、独自で電子書籍ストアをもって、独自通貨コインなどを発行する。コインはオリジナル期間限定キャンペーンなど使い勝手がいい。
  7. オリジナルのオンラインショップをサイト内に設立し、グッズを販売する。
  8. 有料会員制度を設けて、付加価値のある情報や記事を有料化し、会員限定しか見れない機能を設ける。
  9. リワード型広告を設ける。
  10. 成人向けマンガ情報などの有料化

 

国際輸送業界のダークホース 、フレックスポート

貨物輸送業を最適化する、次世代貨物輸送業のイノベーター、FLEX PORT

 

ソフトバンクビジョンファンドの投資先として話題となっている、FLEX PORT。実際にどんなビジネスモデルなのか、そもそも何がすごいのか、これからの市場規模も含めて改めて検証してみた。


プラットフォームを無料で提供、それを利用した収益基盤

FLEX PORTは無料で、貨物輸送業特有の手間がかかる税関に関する書類管理(送り状など)や今現在荷物がどこを通ってどこの港にあるのかという位置情報、運賃料の比較などがウエブ上で一目瞭然になるというサービスを提供している。しかも、海運輸送だけでなく、陸運や空運の情報も同時に提供している。

この無料提供のプラットフォームから収集される膨大なデータこそがFLEX PORT の最大の強みであり、資産である。

収集された各貨物業者の運賃料、膨大な位置情報から算出される網羅された貨物ルートなどのデータから有料で輸送業も提供している。もっとも安く、早く、手間のかからない輸送ルートを簡単に探し出せるという魅力が大勢のビジネスオーナーなどの顧客を引きつけている。

 

事業拡大にむけての投資

LAや香港での巨大な倉庫の建設、チャーター機の購入、貨物輸送業にとって欠かせない資金繰りを助ける融資業なども行なっている。

 

国際物流業界の市場規模は堅調に成長

国際物流業界の市場規模は、Business Wireによると、2017年は約100億ドル、2023年には120億ドル以上になる見通しであり、今後も海を越えた取引はますます増加していくことが予想される。2017年の国際物流業界の市場規模は8%ほど増加し、これは2010年以来、もっとも大きな成長率となっている。

 

物流業界の技術的ブレイクスルーは必然

膨大量のデータやその分析をする必要がある物流業界では、FLEXPORTのような物流データプラットフォーマーの存在価値は非常に高い。PWCのアンケートデータによると約50%の物流業界で働く人が、これからデジタル文化やその知見やノウハウを持った人が必要だ、と答えている。他業界と比べても、データ分析など技術や知見を持った人が物流業界デアは特に必要であり、業界リサーチの専門家の9割は技術的なブレイクスルーに注目していると答えている。



技術的なブレイクスルーの鍵はオートメーション

米国では注目のスタートアップによるトラックの自動運転の試験運転などが盛んに行われているが、陸運、海運、空運どれをとっても自動運転、つまりオートメーションが鍵になってくる。運送業はその業種の特徴である人件費のコストが多大になる。大多数の労働力をロボットなどに置き換えれば、初期投資費はかかるものの、業務における人為的なミスもなくなり、長期的に見れば人件費の削減による安定的な成長が見込める。

 

物流業界スタートアップへの投資は盛ん

伝統的な物流業者大手からの出資や投資も盛んであるが、ベンチャーキャピタルによる、業界のディスラプターとなりうるスタートアップへの投資額はさらに大きく、150億ドルとなっており、物流業者大手の投資額の15倍以上となっている。また物流セクター全体で見ても、2025年までに5000億ドルに達すると、The Eonmoics Timesの記事で予測されている。

敵は巨大な既存大手
競合会社としてはドイツ本社の大手DHLやスイスの物流老舗であるKuehne + Nagelなど世界的にも最大の600億ドル規模の売上高と信頼のある強豪と戦うことになる。

また、注目の競合スタートアップとしては、2012年に香港で設立されたFreightosである。同社はリアルタイムの運賃情報比較や運賃管理サービスを提供しており、これまでに90億ドル以上も資金調達に成功している。同社は1200の貨物運送業のプロバイダと提携し、オンラインで運送の予約、管理、トラッキングなどのサービスが利用できる。